ここでは、ゼミ・講義の進め方について紹介します。入ゼミ希望者、講義履修希望者は参考にしてください。(神奈川大学奉職時の情報です。東大でのゼミの進め方は異なりますが、当時書いたこの内容を参考にされた同業者もいらっしゃるようなので、残しておきます。)

 

【ゼ ミ】

 ゼミは15名前後の規模で実施するため、私からの講義は回が進む毎に減らし、主体的な学習をお願いしています。文献を読み進める場合にも、報告者がレジメを用意し、全体の前で30分とか説明するスタイルは注意力が散漫になる場合もあるため、採用していません。進行役(複数名)を置いたディスカッション形式を最近は採っています。

 ほかにゼミでは、毎回の新聞記事報告(最大3名のグループで、報告日より1週間前までの範囲で最も興味深い記事を取り上げ、その記事を読む上で必要なバックグラウンドを7分以内で報告)、ビブリオバトル、書評提出、ディベート、プレゼンテーション、映画鑑賞、横浜スタジアムでの野球観戦、夏合宿、卒論合宿などを実施しています。

 ゼミは3年間の長丁場です。学習を通じて、論理的思考力や文献を読み込む力を伸ばすことはもちろん、協調性やユーモアなども身につけて欲しいと思っています。

 また、年によってはゼミ生の自主的なサブゼミ活動(開発問題、地域紛争問題などを研究)、ゼミ誌『INTEL』の編集などが行われています。

 教員として,オン・オフの切り替えがはっきりしているゼミ運営をしています。厳しく指導しますが,ゼミの雰囲気は毎年明るいです。

 

購読文献(2018年から所属したゼミ生の場合)

1. ジョセフ・ナイ『アメリカの世紀は終わらない』

2. ファーガソン、ザカリア『リベラル vs. 力の政治 反転する世界秩序』

3. 宮城大蔵・渡辺豪『普天間・辺野古 ゆがめられた20年』(集英社新書)

4. 渡辺靖『リバタリアニズム』(中公新書、2019年)

5. 岩崎育夫『アジア近現代史』(中公新書、2018年)

6. 望月優大『ふたつの日本』(講談社現代新書、2018年)

7. 飯塚恵子『ドキュメント誘導工作 情報操作の巧妙な罠』(中公新書ラクレ、2019年)。

8. 一田和樹『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書、2018年)

9. 梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家』(NHK新書、2019年)

10. ポール・シャーレ『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』(早川書房、2019年)

11. 秋山信将、高橋杉雄編『「核の忘却」の終わり 核兵器復権の時代』(勁草書房、2019年)

 

ほかに、細谷雄一『国際秩序』、イアン・ブレマー『対立の世紀』、グラハム・アリソン『米中戦争前夜』なども利用したことがあります。

 

ゼミ紹介はJINDAI STYLE 307号にも掲載されています。

 

【講 義】

 大人数講義は、知識の伝達に力点を置いているため、講師を務める私が話をしていくことが中心になります。何かを覚えるとか、一つの答えが決まっている問題を解くのではなく、(色々な現象に対して)国際政治学者のように考えることが(少しでも)できるように、分析の道具、思考する力を身につけて欲しいと思って講義しています。なお、sli.doを利用し、講義中に各自のスマホを使い質問をライブで受け付けられるようにしています(講義中、適時それらに答える時間を取っています)